ロールプレイングゲームのパラドックス

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ロールプレイングゲームは、プレイヤーが主人公に成り代わって物語を進めていくゲーム形態である。最近そうでないこともあるが、基本、そうだと考えている。ゲームであるためには、プレイヤーは主人公の立場で何らかの選択や試行を迫られることになるが、それと同時に世界観をよりリアルに感じさせるために描画、ストーリー、音楽、ギミックなどの演出や表現も必須だ。

ここで、あたかも現実であるかのようなリアルな表現がプレイヤーに投げかけられたとき、一つの矛盾が生ずる。プレイヤーはゲームに対して、現実世界さながらの自由でリアルな返答を、返す、ことができない。近未来SFでよく出るバーチャル世界にダイブするようなものでなければ、プレイヤーと主人公をつなぐ装置は大抵コントローラーパッドかマウスまたはキーボードしかない。逆に、世界観に沿うように正義感溢れる二枚目の主人公が、よく通る声でヒロインに向かっていろいろと喋りかけたりすると、高い確率でたまに主人公はプレイヤーの思いと反することを口にする。
 
かつての代表的RPGにはいくつかの解決方法が見て取れる。
 
1.主人公は一切喋らない。
 ドラクエクロノトリガーなど。劇中にはいくつかのコマンドと、歩行と、戦闘と、>はい>いいえ しかない。味気なさを感じることもあるが、主人公の表情や行動の詳細はプレイヤーの想像力によって補完されるため、「俺はこうおもっているのに何で・・・」ということに陥りにくいメリットがある。しかし逆に、主人公からの投げかけが少ないため単純に説明役のNPCを下手に登場させすぎると世界観を阻害する(雰囲気だけでプレイヤーに伝えられれば優秀だと思う)また、特にキャラクターは多くがデフォルメで、主人公の細部を劇中で描かないため思い切った脚本や美麗な人物画などには不向き。プレイヤーは主人公に自由に名前をつけられることが多い。ゲームオーバーになったとき「あなたは死にました」と出るものがある。
 
2.主人公はほかのキャラクター同様強い個性を持つ、または複数の仲間全員をひとくくりにプレイヤーが操作する主人公とみなす。
 主人公の感情や性格がプレイヤーの意志と独立しているタイプ。FF6以降顕著、最近のRPGは多くがこのタイプか?主人公に声優をつける場合、映像クオリティがあがっている場合など世界観に溶け込みやすい反面、プレイヤーが思っていないことを主人公が口走ることがある。
 
3.主人公視点。主人公はプレイヤーから見えない。
 ウィザードリイやさんまの名探偵などコマンド式アドベンチャー要素が強いものもこの部類。RPGでは少数派かなあ。視点を引けないのでダイナミックな情景をプレイヤーに見せにくいが、コマンド式はかなりヴァーチャルリアリティに近く、どっぷり世界につかりやすい。
 
4.プレイヤーは神で、世界や人物を操作する
 これこそ少数派だが、アクトレイザーとかシミュレーションRPGも少しこちらに近い。ジャンルとしてはRPGではなく育成系simかもしれない。最も感情移入しにくいが、世界観を広い視点で体験することができる。
 
マチュア創作者の作品は、大抵2になる。シナリオが組みやすいからだ。ただ、2にするからには極力説明的な役割の人間や、主人公の性格が途中から意図せず変化してしまうようなことは避けたい。世界観を崩さずにゲームに必要な事項を説明させることは意外と難しい。