風見鳥の東京見聞録 序章

 午後9時45分、家を出発した。東京行きの寝台ではない夜行列車に乗り込んだのは発車2分前と実は結構ぎりぎりだった。
 私の乗った車両には全部で6人ほど。それほど人気がないのだろうか。
 寝れない。揺れる。足がのばせない。
 椅子が何をしても回らない。
 回し方を理解したのは午前4時、1時間ほど眠れたが目覚めたときにはすでに朝焼けがまぶしかった。
 そして上野到着寸前で今度は椅子が何をしても戻せない。
 そして旅は始まった。

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