偉大なる時の力

 私が通っている校舎はもう移転間近で、そこらじゅうにがたがきている。手すりはさび付き、割れた窓はダンボールをあてられ、夜は電気が少なくて廊下が暗黒世界。そういう中でもあと数ヶ月はやっていかないといけない。
 さて最近研究室内の手洗い蛇口の排水溝がゴミか何かが原因でつまり、水が流れにくくなっていた。前々からなんとかしたいと思っていたが、近くのトイレを探しにいってもモップしかなく、そもそも手洗い用の蛇口にトイレのスッポンはあまり使用したくないものがある。
 そこで二つ隣にある工作室の固めの針金をつかって、つまった部分を掃除できないかという案が出された。いざやってみるとこれがなかなか効果的で、何回か抜き差しするうちに水がスムーズに流れるようになった。問題の詰まっている部分はUの字型で、うまく針金を曲げてそこを沿うように掃除できれば完璧であった。
 そしていろいろやっていると、手ごたえが突然軽くなった。やった、うまくUの字に針金が進んだ!!と思ったら大変なことになっていた。
 針金が水道管を貫通している
 そして下が洪水に。書類が。

 Uの字の下の部分は、水漏れによって外部から侵食され、さらに変な薬品が内部から蓄積して侵食が進み、何年も使ううちに非常にもろくなっていたようである。水道管が針金で破れるとは思ってもみなかったので、長い時間をかけて水が金属を浸食していった力に感動を覚えつつ、掃除をすませたあとビニールテープで応急処置をしておいた。

 はやく移転したい。

16:51