コーヒーがのみたいです

 驚いたのは,それが卒業を半年後に控えた今になって見つかったことだった.友人の,特にぬるくなった場合は甘すぎて飲めたものではないという評価をものともせず,燃料のように入学時からほぼ毎日小岩井コーヒーを飲み続けた自分にとって,別のものに乗り換えることは有り得ないと思っていたのだが.
 名誉あるイグノーベル賞を取得された教授が開講する”コーヒーの世界”という教養講座の中で,エチオピアの本場のコーヒーを飲むことがあったが,あれは確かに美味しかった.その講座の単位もまた,ほぼ座っているだけでもらえるというのがある意味美味しかったが,しかしあまり高級なものを毎日飲もうとも思わない.寿司ばかり食べているよりも,たまにはカップラーメンも……といった感覚のような,ジャンキーなものを旨く感じるある意味荒んだ状況は,日頃の不摂生な生活を反映しているのかもしれない.
 一時期売り切れになり,今日また復活したその ほろにが仕立てのカフェラテ 乳飲料 大人向け は,MEGMILKという聞いたことのあるような無いような会社の製品だった.5年飲んできた小岩井コーヒーより,量は多い.そして安い.そして味は,確かにジャンキーだがどことなく小岩井の甘さを脱したような,しかしブラックのコーヒーを好む人にはやはり嫌われそうな,そんなものだった.
 皮肉にも売店では小岩井コーヒーの特売で入り口に大量の小岩井が陣取っていたが,そのとき既に自分はカフェラテのほうに足を進めていた.今後どうするかは,気分によると思うが,とにかく,こんなことは大抵どうでもいいことだと思っても,案外自分の全体的なリズムに影響してくるものではなかろうか,と.

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