あなたも私もキンコンカン

 芝寿司というローカルな寿司屋を作った人が私の親戚であるらしいです。その人が、会社の名前を決めるときに、電気炊飯器を眺めていて、東芝の芝の字を取って芝寿司としたそうです。
 さてさて、その電気炊飯器で有名な東芝ですが、創業者は江戸時代から幕末にかけての天才発明家田中久重という人物らしいです。通称からくり儀衛右門、からくり人形の名手で茶運び人形や矢を取って自動で射る人形も作ったということを、大学一年のからくり人形を調べて来いという課題で知りました。
 その人が50歳の頃に、万年時計という究極のからくり時計を作っていました。ぜんまいを一度巻けば1年動き、曜日時刻二十四節気だけでなく日没時刻や天体の動きまで正確に表現する脅威のからくりです。これを作るために、彼は数年間一日も休まず毎日8キロの道のりを歩いて通ったそうです。
 私たちはコンピューターの時代に生きている。私の時計は歩けば自動で充電されますが、一ヶ月は30日に固定されていますし、自分で中身がどうなっているか全然わかりません。歯車の部分とかはなんとかわかるかもしれませんが、非常に細かい電子回路は基板設計図を見ないと何が起きているか人間の目には確認できないのです。
 何もかも用意されているというのは、人間をだめにするとまでは言わずとも、得るものが多い分失ってしまうものもあることを意識したほうがいいのかもしれません。
 

 工学を学ぶものにとって刻むべき、田中久重の言葉
 ものづくりにはまず志があり 次に忍耐があり
 次に勇気があり 次に失敗があり
 そして完成がある

 
 勇気から先に行くことが、現代では非常に重要なことな気がしマス

1:51
 
 で、これに少し関連してさらに今日は書くことが多い日なのですが、兵庫で列車が脱線したようです。現時点で亡くなった人は57人、今第一車両の中の人をなんとか救出中とのことなのでおそらくもう少し死者は増えてしまうでしょう。以前JALの航空機がストールして山に突っ込んだ話がありましたが、そのとき便利な乗り物は一瞬にして人の命を大量に奪ってしまうということを現在の人は忘れているかもしれない、という話を出したことを思い出します。ほぼ100%安全と信じ込む乗り物での惨事は、少なからず今後の社会に影響を及ぼすでしょう。そして亡くなった方にご冥福をお祈りします。
 工学屋としては原因が気になるところです。しばらくすれば解明され、NHKクローズアップ現代で取り上げられることでしょう。今テレビ等で言われていてわかっていることは、
・事故直前は列車はかなりのスピードだった
・前の駅でオーバーランして1分半ほど遅れをとっていた
・運転手は若く経験は11ヶ月
・事故現場付近の線路の上に不自然に石か何かがおかれていたことを示す痕跡がある
・このカーブでは時速133キロで理論的には脱線する可能性がある。ただし列車の設計上の速度限界は時速120キロ

 くらいでしょうか。おっかんさんの日記によりますと、この区間ではかなり飛ばす列車は見られるということなので、あせって時間を縮めようとしてスピードを上げた可能性はあるかもしれません。しかしながら、減速しなければならない個所に石か何かが置いてあれば規定速度の時速70キロであったとしても脱線すればただ事ではすまされないのはわかります。
 一つの興味深い見方として、前の駅でオーバーランした時点で既にブレーキ系統に異常があったのではないかという可能性があります。こちらの場合は整備点検に問題があるということになります。最近の列車はほとんどコンピュータによる自動制御であるのではないかと思っていたのですが、確めてみないとわかりません。自動制御においてオーバーランが起こったことを放置して発車したならばこれまた問題になります。
 マンションの1階が駐車場であったことは不幸中の幸いではなかったかと思います。1階まで家があったらばマンション自体はもちろん後続車両もまきこんで恐ろしいことになっていたかもしれません。
 とにかく明日以降の動向を見守ります。

 明日は健康診断。

2:11追記