人は歩くよのっぺりと

 ユニコ――――――
 幼少の頃ビデオで観たその画面には、人間が石の板をくりぬいたような姿になり無言で行進していた。その恐怖の思い出だけが私の頭の中に刻まれ、世界的に評価も高い手塚治虫の手がけた作品であるにもかかわらず最近まで気にとめることは無かった。しかしたまたま立ち寄った中古ビデオ屋にDVDが置いてあり、1480円。これは、安い。どうする。どうするアイフル
 
 レジまでなんとか表を自分の体側に向けて持っていったが、結構な混み様で。しかしとりあえず自然なそぶりで順番に並ぶ私。裏を上にしてレジに出したのにちょっと太めの女性店員が即座に表を向ける。隣には子連れの主婦と近くに高校生か中学生のグループが。
心の声「何をもたもたしているんだ!!はやく、はやく会計をしろ!誤っても周りの人に見られてはいけないハイインプレッションな印刷がほどこされているんだぞ!!」
会計「会員カードはお持ちでしょうか」
私「いえ」
心の声「はじめて来たのに持ってるわけ無いだろ!レンタルではなく購入なんだから迷わずバーコードを読み取れ!!」
 会計は良いとは言えない手際でバーコードを読み取り、1480円ですと言った。だが発音不明瞭だったために私には1410円に聞こえた。私が1510円を出すと、
会計「えっ・・・と・・・」
心の声「何故!?何故そこでとまるんだ!!ギエェェェ1410円じゃなくて1480円とレジのディスプレイに表示されている!?(闇さん風)いや、ここは冷静に―」
私「あ、じゃあ1500円で」
 会計は1500円を受け取りおつりの20円を私に手渡して、カウンターの下のほうから袋を取り出そうとした。そうしている間にも何人の目がDVDケースの表紙を凝視するかわからない。願わくば、完全不透明であることを―――
 そして会計が袋に入れ始める。
心の声「ウェェェ!ポリ袋か!完全に透明じゃないか!!レンタルは黒い布ケースなのになんだこの扱いは!!なにを入れるのにもたもたしているんだ!!早く入れてできれば裏向きでこちらに渡してください!」
会計「はいどうぞ。ありがとうございました」
私「どうも」
 ばっちり表向きに商品を渡され、私はごく自然な動作を装いつつレジから離れ素早く商品をかばんの中に入れて店を立ち去った。

 今から鑑賞するので感想は見終わってから書きます。

18:35

 人はのっぺりと歩いていなかった。どうやら私の見たのは続編「魔法の島へ」らしい。最後までみないとなんともいえないが、第一作目は素晴らしい物語でした。

22:18